レビー小体病は1912年に初めてレビーによって報告された神経細胞内および神経突起内の封入体であり、1960年に脳幹・間脳にレビー小体が多数出現することがパーキンソン病の病理診断に欠くことが出来ない所見であることが明らかにされた。しかし、1970年代の半ばまではレビー小体が大脳皮質に出現することはまれであるというのが通説であった。われわれは1976年以来、痴呆やパーキンソニスムを主症状とし、レビー小体が大脳皮質や扁桃核にも多数出現する症例を何例か相次いで報告し、さらに皮質型レビー小体の正常や分布を明らかにし、このような症例がまず我が国で注目され、つぎつぎと症例報告がなされた。われわれは、1980年に「レビー小体病」を、さらに1984年に「びまん性レビー小体病」(DLBD)を提唱し、欧米ではこれが見逃されていることを指摘した。それ以来、DLBDが欧米で注目され、多くの研究報告がなされるようになった。1990年にわれわれはわが国のDLBD報告例をレビューしたが、その際にDLBDを、多少ともアルツハイマー病変を伴う通常型とそれを伴わない純粋型に分類した。その後、われわれはDLBDに関して、いくつかの臨床的・病理学的・免疫組織学的・生化学的・分子生物学的研究成果を報告してきた。そこで、今回は従来からのわれわれの研究報告をレビューし、さらに最近の話題を紹介することにする。